安全保障のジレンマとは何か?軍拡の負の連鎖

安全保障のジレンマという言葉をご存知でしょうか?
集団的自衛権などの国家安全保障を考える時に必要な概念がこの安全保障のジレンマです。
2丁の拳銃を向かい合わせにした画像
安全保障のジレンマは、Wikipediaで以下のように定義されています。

安全保障のジレンマとは、他国に対する脅威を感じた結果として行われる軍拡ないし同盟強化の対応が、その当該他国の自国への脅威認識を高め、結果としてさらに当該他国の軍拡ないし同盟を強化をもたらす。防衛のための軍拡ないし同盟強化は他国への脅威になることから、負の連鎖として軍拡競争や同盟強化競争が続くこと。

安全保障のジレンマを日本に当てはめてみよう

日本は現在、アメリカと同盟を結んでいます。
そして、アメリカは韓国とも同盟を結んでいるので、アメリカをハブとすれば、日米韓は軍事同盟を結んでいるように考えられなくはないと言えます。ニュースで、日米韓の合同軍事演習が行われたなどと報道されるのは、この関係性があるからです。
ところで、このような軍事演習を行うと反発してくる国があります。それは、北朝鮮と中国です。両国とも日米韓の軍事演習が行われるたびに懸念を表明してきます。日米韓 vs 中国、日米韓 vs 北朝鮮という構図が浮かび上がってきます。
ところで、なぜ日本は他国を侵略する意志がないのに、新兵器を導入したり、イージス艦を所持したり、自衛隊による軍事演習を行い、またアメリカとの同盟強化を図ろうとするのでしょうか?
その答えは、自衛です。日本の領土・領海・領空を守るためです。
一方、例えば中国も軍備拡張に力を注いでいますが、この軍備拡張は自衛だけでなく、領土拡張のためでもあります。
軍拡が日本は自衛のため、中国は領土拡張のためという異なる理由からであったとしても両国は安全保障のジレンマに陥ってしまうのです。
安全保障のジレンマに陥る原因は、理由に関係なくその軍拡や同盟強化の対応が他国に脅威を与えるからです。その結果、脅威認識が高まり、当該他国の軍拡や同盟強化をもたらすのです。
日本が自衛のため新兵器を導入したり、日米同盟を強化すればするだけ、中国が軍備拡張するのです。では、日本が軍拡や同盟強化を今後一切やめれば良いのでしょうか?
しかし、そんなことをすると中国に一方的に侵略される可能性が高まります。軍拡や同盟強化は止められないのです。これが負の連鎖と呼ばれる安全保障のジレンマなのです。
このように安全保障のジレンマによる軍拡や同盟強化は今後も続いていくと考えられます。それを回避するためにはどうすればいいのか?その答えの一端は外交交渉です。
しかし、現状の日中関係を考えると交渉が上手く行っているようには思えません。
ではどうすれば良いのでしょう?
答えはありません。私達が未来のためにこれから考えなければならない課題なのです。


いかがでしたか?
安全保障のジレンマは、ゲーム理論の囚人のジレンマのモデルを政治学に応用した考え方です。また、国家安全保障は地政学とも密接に関連しています。興味をもった人はぜひ、ゲーム理論や地政学について学んでみましょう!

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