ゲーム理論のナッシュ均衡とは何だろう? – ナッシュ均衡入門

ジョン・ナッシュがその理論を構築したナッシュ均衡。

ゲーム理論でよく耳にする言葉ですが、このナッシュ均衡とは一体何なのでしょう?

ナッシュ均衡がどういった均衡状態なのかをご説明します。

ナッシュ均衡の状態を示した図。X字の黄色い箇所がナッシュ均衡の状態である

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 ナッシュ均衡の定義

以下はWikipediaから引用したナッシュ均衡の定義です。

形式的な定義は次の通りである。標準型ゲーム G = (NSu) (N はプレーヤーの集合、S = prod_{i in N} S_i は戦略の組の集合、u = (u_i)_{i in N} ; (u_i : S rightarrow mathbb{R}) は効用の組)において、戦略の組 s^* in S がナッシュ均衡であるとは、全てのプレーヤー i in N と、全ての s_i in S_i に対して、 u_i(s^*) geq u_i(s_i, s^*_{-i})

 

うーん…。
これって日本語?って言いたくなるくらい、よく分かりませんね。

簡単な言葉で言い換えるとナッシュ均衡は次のように説明することができます。

ナッシュ均衡とは、相手の戦略が分かっていて、
相手が戦略を変えないならば、自分だけが戦略変えると損をしてしまうような状況が全てのプレイヤーで起こっている状態。

自分だけ戦略を変えると損をするわけですから、自分は戦略を変えない方がいいという結論が導き出されます。 また、相手についても同じことが成り立っていると、相手も戦略を変えないほうがいい状態になります。

つまり、誰も戦略を変えない方が損をしなくて済むため、戦略の変更を誰もしない硬直状態ということができます。

このような硬直状態の戦略の取り方をナッシュ均衡と言います。

ここで注意して欲しいのが、ナッシュ均衡が均衡状態として成り立つのは非協力ゲームの場合のみだということです。自分も相手も「せーの!」で協力して戦略を変えることができれば得をするような状況があったとしても、そういうことは起こり得ない状況を前提にしましょうということです。

例えば、次の恋人との待ち合わせの例を見てみてください。

ナッシュ均衡の例

恋人との待ち合わせにおけるナッシュ均衡

恋人同士が待ち合わせをしているとします。
携帯など互いにコミュニケーションを取ることができない状況を考えます。

このとき、待ち合わせ場所として改札前とコンビニ前の2つの選択肢があったとします。

前日に改札前で待ち合わせをしようと二人で約束していたとします。
なので初期状態は、

男: 改札前
女: 改札前

という状況です。

このとき、待ち合わせの時間になると、男性は改札前で待つ、という戦略を選ぶはずです。 もし、ここでコンビニ前を選んだなら彼女に会えないわけですから。

一方、彼女の方も同じような状況なので、彼が改札前で待っていることが分かったら、改札前で待つ、という戦略を選びます。

つまり、

男: 改札前
女: 改札前

というような状況はナッシュ均衡の状況といえます。

ここで、実はコンビニ前の方がお互いの家から近いので、改札前で待ち合わせするよりも、二人共ハッピーな状況だとします。

前日に二人共、コンビニ前で約束していたら、つまり初期状態が、

男:コンビニ前
女:コンビニ前

なら、二人がとる戦略は簡単です。コンビニ前のまま選択肢を変える必要はありません。

つまり

男:コンビニ前
女:コンビニ前

という戦略の組み合わせはナッシュ均衡です。

問題はコンビニ前の方がお互い助かるという状況で、前日に約束した待ち合わせ場所が改札前だった場合です。

このとき、二人で「せーの!」でコンビニ前に約束場所を変える、例えば相手に電話して「やっぱり家に近いコンビニ前に待ち合わせ場所を変えようよ」と連絡を取り合うことができれば、前日の約束(初期状態)が、

男: 改札前
女: 改札前

でもこれは均衡状態にはなりません。

男:コンビニ前
女:コンビニ前

に二人で協力して待ち合わせ場所を変更した方がいいからです。

しかし、ナッシュ均衡は非協力ゲームを前提としてることを思い出してください。
非協力ゲームは、相手と協力して「せーの!」で戦略を変えられる状況ではありません。あくまで相手の戦略は初期状態から変わらないことを想定するのです。

価格設定におけるナッシュ均衡

もう1つ価格設定を例にとって説明してみます。

例えば、冷蔵庫を販売している家電量販店AとBがあるとします。

AとBがお互い時期をずらしながら定期的にセールを開催し、冷蔵庫を販売している中、新手の家電量販店Cが出店し、激安価格で冷蔵庫を販売したとします。
AもBも負けじと価格を下げ、これ以上下げれない状態まで、AとBとCが価格を下げきり、しかも、ここで価格を上げると売れなくなってしまうため、損するような状況であれば、これはナッシュ均衡と言えます。利益が出ない状況まで値下げしてしまったけど、もうAもBもCも価格を戻すこともできない、まさに硬直状態ですね。

この状況でも、AもBもCも「せーの!」で価格を一緒に上げられたら、硬直状態を打破できるのですが、非協力ゲームではそのようなことはできない、という前提があります。


ゲーム理論と聞くと難しいイメージがありますが、このようにナッシュ均衡は、身の回りにもたくさんあふれているものです。

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