事例で見るハンガリーのハイパーインフレーション

ハンガリーのハイパーインフレーション

掃き捨てられる紙幣
ハンガリーでは過去に2度ハイパーインフレーションが起こっています。1度目は第一次世界大戦後で2度目は第二次世界大戦後です。今回は史上最悪のインフレーションと言われている、第二次世界大戦後の方を取り上げます。

1945年の9月頃、ハンガリーでは当時流通していたペンゴを単位とする紙幣の発行が急速に増えます。ナチスドイツ軍が撤退し、代わってソ連軍が進入して来たころです。紙幣の急速な発行とともに、物価が急激に上昇し始めたのです。1946年5月から7月にかけてペンゴでの物価は天文学的な高さとなりました。ハイパーインフレーション中には、物価は 15.6時間ごとに倍となったそうです。上の画像で見られるように超高額紙幣以外の紙幣は紙くず同然となり、落ち葉のように掃き集められ、捨てられたのです。画像は1946年にハンガリーで撮影されたものです。

ハンガリーの紙幣の写真
1946年に半ばに発行された紙幣の額面は、 なんと100,000,000,000,000,000,000 (1万京)ペンゴ

ハイパーインフレーションの結末

このようなハイパーインフレーションに襲われたハンガリー政府はどのようにインフレ問題を片付けたのでしょうか?1946年8月、ハンガリー政府は通貨改革を行いました。新たにフォリントと呼ばれる紙幣が発行され、ペンゴは回収されたのです。驚くべきことはその、ペンゴとフォリンとの交換比率です。

1フォリント=10の27乗ペンゴ

数の単位は、10の12乗が兆、16乗が京、20乗が垓(がい)、24乗が禾+予(じょ)と続きます。
つまり、1000禾+予(じょ)ペンゴが1フォリントになったということなのです。もはや想像できないですね。ちなみに通貨改革時には「ハンガリーの国すべてにある紙幣の合計の価値の見積もりが 1米ドルの 1000分の1と等しかった」と試算されています。通貨改革を行わなければどうなっていたのでしょう…。


いかがだったでしょうか。日本ではあまり馴染みのないスーパーインフレですが、アベノミクスに絡めて反対派がハイパーインフレを引き合いに出したりしていますが、どうなんでしょうか。

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