名目金利と実質金利。
聞いたことはあるけど、実際に両者で何が違うのか説明できる人は少ないのではないでしょうか?
今回は名目金利と実質金利の違いについて、わかりやすく解説したいと思います。
名目金利と実質金利とは?
名目金利というのは、一般的に金利と言われているもので、「定期預金金利が5%」などというときの金利が名目金利です。
しかし、この名目金利というのは見かけの数値にすぎません。
「見かけの数値」だから「名目」なんですね。
一方で、実質金利というのは、名目金利に物価上昇率、すなわちインフレ率を加味した金利のことを言います。
実質金利は以下のような式から導くことができます。
実質金利=名目金利ーインフレ率
例えば、あなたが100万円の車を買うかどうか迷っているとします。もし金利が5%で、インフレ率が0%だとすると、今100万円を出して買うより、1年間預金しておいて、105万円になってから買えば、5万円が手元に残ることになります。
実質金利=名目金利ーインフレ率
⇔
5%-0%
=5%
しかし、金利が5%で、インフレ率も5%だと1年後には車の方も105万円になっているので手元にお金が残らなくなります。
実質金利=名目金利ーインフレ率
⇔
5%-5%
=0%
ただし、金利が5%で、インフレ率が5%より高くなると、1年後には車を買うお金が足りなくなります。
例えばインフレ率が10%だとすると1年後には車を買うためには110万円が必要なので、5万円不足することになります。
実質金利=名目金利ーインフレ率
⇔
=5%-10%
=-5%
投資と貯蓄どちらが有利なのか?
インフレ率が高い経済状況下では、名目金利が多少高くても、インフレ率で相殺されてしまうので、実質金利は低くなります。
そうなると、今100万円を貯め込んでいても、その価値がどんどん下がっていくので、投資が有利で貯蓄は不利ということになります。
他方で、日本が近年陥っているデフレのような経済状況下では、名目金利がほぼゼロに近い数字であっても、インフレ率がマイナスなので、計算式ではマイナスをマイナスすることになり、実質金利はそれなりの高さになってしまいます。そうなると、投資が不利で貯蓄が有利になります。
このように見てみると、日本がなぜデフレから脱却できないのかが少し見えてきます。
デフレ下では、物価が下がることで、自動的にお金の価値が上がるんですね。わざわざ投資しなくても、貯蓄しているだけで、実質的に資産が増えるわけです。 するとお金を使わずに、長い間持っていた方が得、つまりお金を使わなくなってしまうんですね。
このことが、景気回復の足を引っ張っている一因といえます。
この記事を機会に、国際経済に興味を持った方はこちらのオンライン講座もどうぞ。
コメント