ラズパイとトランジスタを組み合わせて電子工作に挑戦してみよう

さまざまなツールの登場で子供でも楽しめるようになった電子工作。
ネットで簡単に購入できる部品を組み合わせるだけで、驚くほど多種多様な回路を作ることができます。
今回は、電子工作を身近なものにしてくれた代表格であるラズベリーパイと、電子工作でなくてはならないバイポーラトランジスタについて解説します。

小さなパソコン、ラズベリーパイとは?

ラズベリーパイ(Raspberry Pi 通称ラズパイ)とは、超小型のシングルボードコンピュータです。普通のパソコンとは異なり、下記の写真にあるような基盤がむき出しの見た目が特徴です。
Raspberry Pi 3(ラズベリーパイ3、通称ラズパイ3)を箱から取り出したときの写真
モニターなど必要な機器とつなげば、通常のパソコンのように使うことができます。
誰もが簡単に作れる小さなパソコンのようなものです。
詳しくは、以前にもラズベリーパイについて説明した記事がありますので、そちらを参照してください!

電子工作でなくてはならないトランジスタとは?

トランジスタという言葉、聞いたことはあるけど、具体的に何をするものなのか分からない方も多いのではないでしょうか。

トランジスタは電気の流れをコントロールする部品です。

半導体でできた能動部品(外部からのエネルギーを増幅・整流することが可能な部品)の代表と言われるぐらいとても重要な部品で、エアコンやリモコンなどたくさんの電子回路で活躍しています。

トランジスタにも特性の違いによっていろいろな種類があるのですが、普通、トランジスタと言えば「バイポーラトランジスタ」を指します。

今回はそんな代表的な「バイポーラトランジスタ」について詳しくご紹介します。

バイポーラトランジスタの2つの役割

バイポーラトランジスタには主に2つの役割があります。

一つ目は、テレビやラジオなどに応用されている「増幅」作用です。
空気中を伝わってきた微弱な電波信号をキャッチして増幅し,スピーカを鳴らすといった働きです。スピーカ自体を動かす動力源になるのではなく(スピーカ自体は外部電源により動きます)、どんな音を出すか命令する部分をトランジスタが担ってくれるわけです。
イメージしやすいように車で例えてみましょう。
どんなに小さい乗用車でも1tほどの重さがあります。
そんな重い車でも、私たちはハンドルを回すだけでとても簡単にコントロールしていますよね?
これは、ハンドルを回す軽い力(=微弱な信号)をセンサがキャッチし、補助モータでステアリング(舵取り装置)を動かしているから可能になっているのです。
ちなみにこの仕組みをパワーステアリングと言います。トランジスタは電子回路において,このパワーステアリングのような役割を担っており、上述のスピーカなどを駆動させる際には欠かせない存在となっています。

二つ目は、回路のON / OFFを切り替える「スイッチング」作用です。
先ほど「増幅作用」について説明しましたが、この現象は電流値がある値を超えないと起こりません。つまり、キャッチした信号が弱すぎると信号を認識せず(=OFFの状態)、ある値を超えると信号を大きく増幅(=ON)させます。この仕組みを利用して、入力された値に応じて、回路内に電流を流したり止めたりする、いわば「スイッチ」の役割をトランジスタに持たせることができます。

以上のように、電流の変化をキャッチして増幅またはスイッチング作用を行うのが、バイポーラトランジスタです。

ちなみに他の種類としては、電圧の変化によって動作する電界効果トランジスタ (FET) などがありますので、気になる方はぜひご自身で調べてみてください。

ラズパイとトランジスタを組み合わせるとこんなものが作れる!?

ここで紹介したラズベリーパイとバイポーラトランジスタを組み合わせると、電子工作の幅が広がり、以下のようなものまで作れるようになります!

ラズベリーパイの発熱を抑えるためのファンコントローラ

トランジスタを使えば、ラズベリーパイの出力によってON / OFFを切り替えられるモータなどの駆動回路を作ることができます。
例えば、ラズベリーパイの温度を検出して、その値に応じてファンを止めたり動かしたりするという仕組み。
この場合トランジスタは、ラズベリーパイのピンから発せられる信号を増幅して、ファンのモータを駆動する役割を担っています。

参考記事: ファンコトローラ

液体検出センサ回路

液体を検出するセンサもラズパイとトランジスタで作ることができます!

まずは、2本のリード線を用意します。トランジスタと回路の電源からそれぞれリード線を伸ばし、スイッチの役割を担当させます。
空気中ではリード線間の抵抗が高いため、トランジスタはオフ状態となり回路に電流は流れません。
しかしリード線を水中に浸すと、抵抗値は減少して、トランジスタはオン状態となります。
トランジスタとピンを接続して電流や電圧の値を監視し続け、変化があればメッセージを表示させたり、LEDを点灯させたりすれば、立派な液体検出センサ回路の完成です!

参考記事: トランジスタとラズベリーパイでつくる液体検出センサ

ラズベリーパイに外部の機器をつなげるときの注意点

ラズベリーパイにトランジスタなどの外部機器をUSBでつなげることで、センサ回路などさまざまなものを作ることができますが、注意点があります。

消費電流の高い機器をつなげると、SDカードの内容が消えてしまったり、本体が壊れてしまう場合があります。

ラズベリーパイで使える最大の電流は1Aです。
(参考: Raspberry Pi公式ドキュメント日本語訳 – 電源
消費電流が1Aを超えるUSB機器を接続する場合は、外部のUSB電源に接続する必要があります。

1Aを超える消費電流の機器をつなげて、本体を壊してしまうトラブルを避けるために、外部端子のサージ電圧から保護して誤動作を防ぐダイオードを取り入れましょう。

ラズベリーパイの電子工作では、プログラムの知識だけでなく、周辺機器の仕組みも学べるのが魅力ですね。


いかがでしたか?
今回ご紹介したラズパイバイポーラトランジスタは、RSコンポーネンツなどのECサイトから誰でも簡単に購入できます。
ラズパイとトランジスタを使えば電子工作の幅が広がること間違いなしです!
ご自身でもお子さんとご一緒にでも、ぜひ電子工作にチャレンジしてみてくださいね。

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