少子高齢化により介護士の人手不足が叫ばれています。
しかし、「介護する人はたくさんいるのに、要介護の方が集まらない」という高齢者施設があるのです。それが、デイサービス(通所介護)施設です。
介護は人手不足が訴えられ続けている業界ですが、実はデイサービス施設では全国各地で人手が余る事態が起きています。
たくさんの人員で、余裕を持ったケアが出来るのなら良いのですが、利用者が日によって極端に少なく、やむを得ずシフトに入っていたパートやアルバイトスタッフを急遽休ませるような事態も発生しています。
デイサービス施設ってどういうところ?
そんな問題を抱えているデイサービスですが、どんなものなのかというと、端的に言えば、介護施設へ完全に入所するのではなく、家族が不在の日中のあいだだけ施設で過ごし夕方〜夜に自宅へ戻る介護サービスのひとつで、「通所介護」とも呼びます。
利用者の方には認知症やパーキンソン病など介助無しでは生活が困難な方もいらっしゃいますが、視力が落ちている、片足のみが不自由など介護度が低めの方も利用することができます。
ご家族からすれば、やはり日中に高齢者を一人で過ごさせるのは不安なもの。また、仕事などをしていない高齢者は社会との関わりが減ったことで鬱病などのリスクも高まってしまうので、外出・交流という意味でもデイサービスは効果的です。
デイサービスでは、食事・入浴のほかは簡単なゲームや運動、音楽などを楽しんで過ごします。
しかし高齢者の方にも得手不得手はあるので、皆で一斉に同じことをする、決められているからと苦手なことをすることに対して強烈なストレスを感じてしまう方も。中にはそんな環境の変化に馴染めず、一気に体調を崩してしまう方もいます。
そこで介護スタッフは、「ゲームや運動、音楽などのレクリエーションを惰性で行なってはいないか」ということについて考えなければなりません。
高齢者の中には、家では出来ないからデイサービスで体を動かしたいという方もいれば、歌を歌いたいという方もいます。ゲームより、趣味だった習字をしたいという方だっています。
実は「好きなことではないのに、この施設では決められたレクリエーションだけを一斉にやらされる」ことがネックで、そこの利用を見送り次の施設の空きを待つ高齢者の方が多いため、「空きはあるのに埋まらない」状況となってしまうのです。
介護はサービス業であるので、利用される方のニーズを捉えることはとても重要。
危険を伴うようなことでなければ、希望のレクリエーションを取り入れる、いくつか用意をして好きなことを選んで出来るようにする、という柔軟性が介護施設でも求められているのが現代です。
介護従事者に必要な営業スキル
「希望に沿ったことが出来るかどうか」を見極めるため、利用者とご家族はそのデイサービスの見学をしておいた方が確実です。また、デイサービスはケアマネージャー経由で紹介してもらうことになるので、介護施設はケアマネージャーに対して充分な情報提供を行なうことが必要となります。
情報提供を行うということは、施設の提案、営業を行うということになりますが、実は介護スタッフは「営業をすること」に弱い方々が多数います。普通に情報提供をしたつもりでも、実際に利用希望者を探すケアマネージャーに対して「凄く失礼な営業のかけ方」になっていることも少なくありません。
普段あまり気に留めなかったケアマネージャーへの対応も、間接的とは言え利用者が集まらない原因を作っているのです。
もちろん、利用希望者のご家族から直接お問い合わせがあった場合の対応は言わずもがな。日常の業務に追われがちであっても、「確認後、こちらからかけ直します」と伝えたならば当日中、遅くとも翌日にはお答えするのが「利用者=お客様」に対するビジネスマナーです。
デイサービスの集客やサービス内容に悩まれている介護業界の方々、「介護=サービス業」とスタッフ全員で意識改革を行なってみるのはいかがですか?
コメント