小学校の頃から長く慣れ親しんでいる記号「 = 」イコール。日本語では「等号」と呼ばれています。
でもこのイコールに異なる2つの意味があることは知っていました?
式を変形するときのイコールと方程式のイコールはべつもの
例えば、次のイコールを見て下さい。
2 + 3 = 5
この場合のイコールは、左側の式とを変形すると右側の式になることを表しています。
そして、その変形は誰がやっても(この場合足し算のやり方を知っている人なら誰でも)、同じ結果になります。
次に、以下のケースのイコールを見て下さい。
2a + 3b = 0
このイコールは、先ほどの2 + 3 = 5のイコールとは種類が異なります。
なぜなら、2a + 3bを計算しても0にはならないからです。
2a + 3b だけ見せられて、「これは0になるぞ!」と叫んだら狂人と思われてしまいます。
この場合のイコールは、左側の式を変形して右側の式になることを表しているのではなく、「左側と右側が同じになります」という取り決めを表している記号です。
普通はこのようなイコールでつながれた式を方程式と言います(y = 3x + 2 などなど)。
2つのイコールは扱い方が異なるので気をつけよう
さて、イコールに2種類あることは分かりましたが、見た目上この2つのイコールは両方とも「=」という同じ記号で表され、記号を見ただけではどっちのイコールなのか判断できません。
数学では、異なる意味を表すものには異なる記号を使うのが常ですが、イコールはやや例外的な扱いになっています。
同じ記号なので、同じように扱っていいかというとそうでもありません。
例えば、式を変形する方のイコールは以下のような表し方をします。
2a + 4a + 3a + a = 6a + 3a + a
= 9a + a
= 10a
初めの左側の式で4つ項があるので、前から順番に足していっています。
左側を固定して、右側に計算の結果が順々に書かれています。
式の変形を行うときのイコールの場合、この書き方をやって問題ありません。
ですが、方程式のイコールで同じことをするのは禁物です。
2a + a = 3b + b
= 4b
3a = 4b
これは2行目で右辺の計算をして、3行目で左辺の計算をしたことを表しています。
ですが、1行目のイコールは方程式のイコールで、
2行目のイコールは式変形のイコールになってます、
そして、3行目では式変形のイコールかつ方程式のイコールになっています。
これでは、イコールの取り扱いがぐちゃぐちゃです。
方程式のイコールは一貫して方程式のイコールとして取り扱った方が望ましいです。
そのため、よく「⇔」の記号を使って、方程式のイコールの式の式変形を書くことがあります。
2a + a = 3b + b
⇔ 2a + a = 4b
⇔ 3a = 4b
このようにすれば、イコールを常に方程式のイコールとして取り扱うことができます。
さらに、詳しい説明は以下の動画で詳しく見ることができます。
様々な式を目にすることがあると思いますが、そこにあるイコールが一体どっちの意味のイコールなのか、見極められるようになりましょう!
そうすることで、式を正しく扱い、より深く式の意味を理解できるようになるはずです!
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コメント
イコールの意味は「左側と右側が同じになります」だけですよ。式変形に用いる際もイコールの記号自体は同じ事を表しています。
あと、特に理由が無ければ⇔よりも⇒をお勧めします。
「5=b ⇒ 5a=ab」は常に成り立ちますが、「5a=ab ⇒ 5=b」はa=0の時に成り立ちません。だから「5=b ⇔ 5a=ab」だと間違いになります。
私もイコールの意味は「左側と右側が同じになります」だけだと思います。式変形で使う=も 3b + b = 4b の3b + bを省略しているだけで「左側と右側が同じになります」のみだと思います。
等号の意味は、左辺と右辺が数学的に等しい、に他なりません。
2a+4a+3a+a = 6a+3a+a
= 10a
上式2行目は
2a+4a+3a+a = 10a
を省略したに過ぎず、
2a+4a+3a+a = 6a+3a+a
∴ 2a+4a+3a+a = 10a
と書けば等号の意味に縛られることはありません。
イコールは「左辺と右辺が等しい」しか意味しないというのはまったくその通りですが、著者の言いたいこともわかります。
本題と離れますが、物理を初めとして数式で現象や状態を表す場合でもイコールは「左辺と右辺が等しい」を意味します。
しかし現実には、必然的に等しくなるのか、自然が等しくなることを要求しているのか、それを書いている人が等しいと主張しているのかといった区別を認識しないと、その数式から現象や状態を読み解くことができません。
たいていの場合は文脈でわかりますが、初学者の誤解の原因が結構そこにあったりします。(前後の文章を読まないで数式のフォローだけで理解しようとする場合に起こりがち。)