「マズローの欲求5段階説」をご存知ですか?
その名の通り、アメリカの心理学者・マズローが提唱した、「人間の欲求は5段階に分かれている」というビジネスセミナーや自己啓発本でよく見かける、あの5段のピラミッドのことです。
マズローの欲求5段階説とは?
5段階のそれぞれを簡単に解説すると、下から
Physiological(生理的欲求)・・・食べたい、飲みたい、寝たいなどの生きていくための基本的・本能的欲求。
Safety(安全欲求)・・・雨風をしのいだり健康を維持したいという、安全・安心な生活を求める欲求。生理的欲求と合わせて基本的な欲求。
Love/belonging(帰属・社会的欲求)・・・会社・家族・友達など、集団へ所属したい、仲間が欲しいという他者を意識した欲求。
Esteem(承認・尊厳欲求)・・・他者から認められたい、尊敬されたいという欲求。これも他者を意識した欲求であるので、帰属・社会的欲求が前提。
Self-actualization(自己実現欲求)・・・自分の力で自分の思う人生を創造したい、自分の能力や魅力を最大限に発揮したいという欲求。
となります。
現代では、SNSでの「いいね!」の数を意図的に集めたり、自己アピールが過剰な人に対して「自己顕示欲が強い」「承認欲求が強い」などと揶揄したりしますが、仕事というものはある意味では承認欲求で成り立っている場といえます。
- 認めてもらえなければ商品は売れない。
- 認めてもらえなければ就職先は決まらない。
- このプロジェクトを成功させて、自分の力を認めてもらいたい。
- 尊敬される先輩・上司でいたい。
- 「仕事がデキる人」として認められて、尊敬されたい。
もちろん、承認欲求は仕事のモチベーションに繋がります。
だけど、なぜか上手くいかない…。頑張っているけれど、いつも何かモヤモヤしている…。
そんな方は、まずは一度、自分の欲求から離れてみませんか?
承認欲求を満たすためのビジネスマナー
仕事の場で「自分はこの人から認められている」と感じる場面は、「きちんとした人と接しているとき」です。
「きちんとした人」というのは身だしなみが整っていて、正しい敬語が使える、そして振る舞いに品がある人、要するに『マナーが身に付いている人』です。
「えええっ…そんな簡単なことで『認められている』と感じるなんて…!」と思われたことでしょう。
でも、例えばオフィスにやって来た営業マンが、清潔感もなく言葉遣いもなっていない、失礼な態度ばかりの人だったら「ウチもナメられたもんだな…」と思いますよね。
それは「ナメられた」→「ビジネス相手として見られなかった」→「ビジネス相手として認められなかった」=「こちらの承認欲求が満たされなかった」という意識の流れになってしまうのです。
ということは、逆パターンも同様。丁寧に接してくれる方や敬意を表してくれる方を前にすると、「失礼があってはいけない、大切なビジネス相手として見てくれている」という感覚が生まれ、「相手が自分を価値のある人と認めてくれた」と承認欲求が満たされていきます。
ここまで知ると、「たかがビジネスマナー、されどビジネスマナー」。
この「ビジネスマナー」を理解している人が増えれば、打ち合わせや商談、人間関係などがもっと円滑に進むと感じませんか?
自分を認めて欲しければ、先に相手を認める
いい気分で毎日仕事ができれば最高ですが、あくまで仕事は他者と一緒にしていくもの。社会と関わる限り、毎日ずーっと気持ちがいい日が続くかというと、そういうわけにもいきません。
自分の気分をずっと良くするのは難しいとしても、まずは自分が「人の気分を良くしてあげる側」に回ることは可能です。
「人は見た目が9割」という書籍にもある通り、人の第一印象はだいたい3〜5秒で決まってしまいます。そしてその数秒の間に第一印象を決める材料となるのが、「視覚情報」です。
人間はそもそもほとんどの情報を視覚から得ているので、そういった意味ではパッと見て第一印象を決めてしまうというのも無理はないですよね。
では「パッと見」でどのように「相手のことを認めている」ことを表現するかと言うと、それはズバリ「笑顔」です。
実は人間は、笑顔を見せられると無意識のうちに警戒心を解き、親近感を持ちます。笑顔を見ると条件反射的に「この人は私の味方だ」と感じてしまうのです。
営業先の担当者や、就職・転職活動のときの面接官が最初にニッコリ笑ってくれると、「あっ、大丈夫かも…」「実はいい人かも…」とホッとする、その原理です。
なので、「あなたに敵意はありませんよ。ビジネス相手として、味方として認めていますよ」と伝えるには、「パッと見た見た目」の中でも特に真っ先に視線が捉える「顔」で笑顔を作ればいいということ。
表情筋が固い人にとっては、最初は上手く笑えていないと不安を感じるかもしれません。
でも、表情筋はちょっとしたトレーニングで鍛えることが出来ますし、「笑顔で先に相手の欲求を満たしてあげる戦法」でビジネス現場が上手く回っていくのなら、こんな簡単な方法を身に付けない手はありませんよね。
素敵な笑顔を見せられるようになったなら、それに伴う素敵な振る舞いや態度も意識していけるので、「自分を大切な相手と認めて接してくれる、きちんとした人」となっていけます。
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