原始的な脳から探る意思決定の秘密

2005年に行われたある脳科学の研究(Briggman et al., 2005)では、我々人間には自由意思は存在しないことが示唆されています。

その研究では脳の仕組みを調べるために、ヒルの原始的な脳を用いてある行動の意思決定を司る神経細胞を特定し、行動選択のメカニズムを明らかにしています。

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ヒルも意思決定している?

水槽中のヒルを刺激すると、泳いで逃げる場合と底を這って逃げる場合があるそうです。これは人からすると、気まぐれにせよ論理的思考に基づくにせよ、ヒルが意思決定をしているように見えます。

この行動選択の現象のメカニズムを解明するために、冒頭のとある科学者たちが立ち上がりました。

ヒルの脳に存在する神経細胞は二万個程度であったため、研究者が一つ一つ調べ上げていったところ、這うか泳ぐかという選択が行動に現れる前に活動する細胞として、208番目の神経細胞が該当することが明らかになったそうです。

明かされた意思決定のからくり

結果から言うと、彼らの研究によって208番目の神経細胞におけるカルシウムイオンの濃度がある値以上の時にはヒルは泳いで逃げ、ある値以下の時にはヒルは底を這って逃げることがわかりました。

つまり、カルシウムイオンの濃度は変動しており、たまたま低い濃度の時は這う選択をし、高い濃度の時は泳ぐ選択をするというのですから、意思に依っていないというのが彼らの主張ですね。

現にその後、神経細胞にカルシウムイオンを注入してから棒で突くとヒルは必ず泳いで逃げることが確かめられています。


ちなみにこの研究の後、科学者の立場は「人間の意思決定も同じように濃度の変動に依存して行われている」とする生命は皆同じ!派(=実は自由意志は幻想)と「人間は濃度変動以外にも意思決定の要素を持つ」という人間は特別だ!派(=自由意志は確かにある)に大きく二分したようです。

Selecting the right direction

皆さんはどう思いますか?

最近は統計を用いて意思決定を脳の外部に委ねることが流行りですが、自由意志があるにせよないにせよ、イオン濃度の変動により機械とは異なる変則的なアウトプットが可能な人間ならではの行動選択が光るケースはあるかもしれません。

前者は文明がもたらした安全策であり、後者は本能に根ざした博打といったイメージでしょうか。

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