サッカーのPKをゲーム理論で考えてみる – ワールドカップでPKが失敗しやすい理由

みなさん、サッカーは好きですか?
サッカー通の人もそうでない人も、分かりやすいルールで白熱できるのがPKです。

PKは観る側もドキドキしますが、それ以上に、キーパーとキッカーにとっては、一瞬で勝敗が決まる壮絶な駆け引きの場です。

今回はそんなサッカーのPKをゲーム理論で考えてみたいと思います。

ゲーム理論とは

ゲーム理論とは、自分以外に他のプレイヤーがいる状況で、それぞれのプレイヤーがどのような戦略をとるべきかの意思決定に関する理論です。
特に、他のプレイヤーがどのような戦略を取るのか互いに分からない(コミュニケーションを取ることができない)場合を、非協力ゲームといいます。

サッカーのPKの場合は、ここでは単純に「右に蹴るか、左に蹴るか」を戦略とすると、キッカーとキーパーで戦略についてコミュニケーションを取ることはありませんから、典型的な非協力ゲームと言えます。

PKにゲーム理論を適用してみる

「キッカーが右に蹴るか、左に蹴るか、どちらに蹴る方を得意にしているか」という情報をキーパーが知ることができれば、それに応じてキーパーは「右に飛ぶ、左に飛ぶ」という意思決定を行いやすくなります。
一方、もし「キーパーが自分の蹴る方を、キッカーの癖から予測している」とキッカーが知ることができれば、その裏をかいて、「逆側に蹴る」という意思決定を行うことができます。
さらにさらに、そのようなことをキーパーが予測していて…
とどこまでもこの予測→裏をかく、という状況を繰り返すことができます。
そのため、結局はこれを繰り返すと右に蹴っても、左に蹴っても同じ、という推論になり、実際に欧州主要リーグのPKの統計を長い期間をとって分析すると右左でゴールする確率に差がなくなることが知られています。

ワールドカップでPKが失敗しやすい理由

先ほどの状況で重要なことの1つとして、「キーパーがキッカーの情報を分析する」からスタートしていることです。
つまり、キーパーがやや優位な状況といえます。
何度も同じチームと対戦することのあるリーグでは、キッカー、キーパーの裏のかきあいの状況が均衡するのですが、ワールドカップなど普段試合をしたことのないチーム同士の試合だと、PKではキーパーがやや優位となり、その分、ゴールの確率が下がってしまうことになるのです。


いかがでしたか?
PKって観ていて本当にドキドキしますよね。
ゲーム理論はサッカーにも適用できるのかと驚いたかもしれません。
日常でゲーム理論が当てはまるケースは意外と多いもの。ぜひ身近なゲーム理論の事例を探してみてください。

90秒で分かるゲーム理論のナッシュ均衡って何?

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