MITの有名な物理の教授Walter Lewin(ウォルター・ルーウィン)教授をご存知でしょうか?
名前を知らなくても、体を張った実験で物理法則を分かりやすく教える教授というと見たことがある方もいるかもしれません。
MIT白熱教室 ウォルター・ルーウィン教授
しかし、今、こちらのウォルター・ルーウィン教授のオンライン講座が大きな波紋をよんでいます。
ウォルター・ルーウィン教授の動画が削除された!?
MIT(マサチューセッツ工科大学)はその授業の一部をオンライン上に無料で公開しています(edXと呼ばれるMOOCs(大規模オンライン公開講座)上でMITxという名前で公開されています)。
体を張った分かりやすい説明で好評のウォルター・ルーウィン教授の授業もMITx上に公開され、多くの人たちに物理を学ぶ機会を提供してきました。
しかし、今MITx上にウォルター・ルーウィン教授の講座はありません。
MITによって削除されたためです。
動画が削除された理由はオンライン上でのセクハラ
なぜ大人気の授業が削除されたのか?
その理由はセクハラ問題です。
ウォルター・ルーウィン教授はオンラインで授業の動画を公開するだけでなく、インタラクティブな授業も提供していました。
生徒からの物理に関する質問をチャットで答えるようなサービスも行っていたのです。
このチャットでのやり取りで、女学生に対するセクハラに該当するような発言があったと報告され、MITが調査を行った結果、確かにセクハラに該当する発言が確認されたといいます。
この事件を受けMITはウォルター・ルーウィン教授のオンライン講座をMITx上から削除するという決断を下しました(YouTubeなどでは依然として教授の授業が見れますので、物理を学びたい人にとっては救いですね)。
さらに、ウォルター・ルーウィン教授の教授職(正しくは引退しているので名誉教授)の称号も剥奪する決定まで下されています。
少し怪しい臭いがする案件
しかし、実はこの事件不明瞭な点が多々あります。
MITはウォルター・ルーウィン教授の処分をアナウンスはしたのですが、具体的にどのようなセクハラ発言があったのか、など事件の顛末をまったく説明していません。
また、セクハラ発言については女学生から報告されたらしいのですが、その報告も、1年前のやり取りに対する報告で、なぜ今さら過去の発言を急に指摘しだしたのか、その理由もよく分かりません。
ウォルター・ルーウィン教授の授業は非常に分かりやすく、他の物理の先生から疎ましく思われていたようです。
例えば、自分の生徒から、「あんたの授業に出るより、家に帰ってウォルター・ルーウィン先生の動画見てた方がよっぽど勉強になるわ。」なんて言われるようなことがあれば、疎ましくなるのもうなずけるかもしれません。
一部では、このようなウォルター教授に恨みを持つような人が、今回の事件を引き起こしたのではないかという陰謀論まで囁かれています。
オンラインで教えるリスクと学ぶ機会の喪失
もちろんセクハラ発言が実際にあったとしたなら、それは許されることではありませんが、オンラインで教えることがリスクになるような状況は避けるべきと考えられます。
ちょっとした発言で職位まで失ってしまうようなことがあるのならば、誰もオンラインで教えたいとは思わないのではないでしょうか。
MOOCsなどのオンライン講座で教える大学教授の中には、特にその活動によって給料が上がるから、という理由ではなく、より多くの人に学んでもらいたいという純粋な気持ちでオンライン講座を公開されている方もいらっしゃるでしょう。
そのような気持ちがあっても、今回の事件によって、オンライン講座の提供を止めてしまうようなことがあれば、多くの人から学ぶ機会を奪ってしまうことになります。
オンラインの学習環境が広がるにつれ、オンライン独特の問題がこれからも出てくるものと考えられます。
この事件についても、ちょっとした発言であってもオフラインの対面授業と異なり、全てログが残ってしまうことが原因の1つとしてあげられるでしょう。
私達はこれから、こういったオンライン独特の問題にも適切に対処しながら、私達の学びの環境をより充実させていく必要があります。
本事件については下記に詳しく紹介されています。
MIT’s terror against Walter Lewin’s lectures is unacceptable
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