相手と自分の意思決定が相互に作用する状況を研究する「ゲーム理論」。
そのゲーム理論は実際にどのように使われているのでしょうか?
今回はゲーム理論を利用した、商品の売り手買い手がwin-winの関係になれるオークションの仕組について見ていきましょう。
オークションにも様々な種類がありますが、その中でもファーストプライス・オークション(first price auction)、セカンドプライス・オークション(second price auction)は、どちらを用いても売り手の収益は(期待値が)等しいことが証明されています。このことを収入等価定理と言います。
ファーストプライス・オークション、セカンドプライス・オークションがどういったものなのかを解説します!
ファーストプライス・オークションとは
ファーストプライス・オークションとは、いわゆる私たちが通常目にするオークションのことです。宣言された一番高い値段で商品を購入することができます。
このとき、買い手が市場価格よりも高い価格でその商品を入札してしまうと、その人が商品を他に転売したくても、自分の宣言した価格が市場価格よりも高いので、買値よりも安い値段でしか転売できず、損をしてしまいやすいのです(これを「勝者の呪い」と言います)。
例えば、オークションにおいて非公開性で入札した際に、自分が落札したとします。
すると、自分が無事に落札したのは嬉しいですが、競争の入札相手がどのくらいの価格で入札したのかは分かりません。
「自分が入札した金額は、もしかしたら高すぎたのではないか?」と悩みます。
2番目に高い入札をした人より、100円〜数千円くらいであればまだいいですが、何十万円、何百万円も違えばどうでしょう?後悔の念にも似た心境になるでしょう。
また、「勝者の呪い」を回避しようとしてみんなが商品に対する入札価格を低くしてしまうと、なかなか値段が上がらないので商品の売り手側に損失が生じやすくなります。
ゲーム理論を利用したセカンドプライス・オークション
次にセカンドプライス・オークションの定義を見ていきましょう。
セカンドプライスオークションの定義は以下の通りです。
セカンドプライス・オークションとは、オークションの支払価格決定方法のひとつで、最終的に最も高い価格を入札した買い手に販売されるが、支払額は2番目に最も高い価格に設定されるというもの。
ゲーム理論を用いれば、全員が自分の評価額をそのまま入札することが証明でき、最も望ましい方式ということもできる。例を述べれば、Yahoo!オークションがこの方式を採用している。
2番目に高い値段が適用されるので、商品を売る側は損じゃないの?1番高い金額で売るのがいいんじゃないの?と思うかもしれません。
しかし、ここでゲーム理論です。
売る側だけでなく、買う側のことも同時に考えてみましょう。
例えば、Aさんはある商品に10万円まで払っても良いと思っているとします。
そして、ライバルであるBさんがいて、Aさんは、Bさんが6万円を提示するであろうと予想したなら、Aさんは7万円くらいを提示するでしょう。
しかし、この時Bさんが実際は8万円を宣言したとすると、ファーストプライス・オークションなら、最も高額に評価していた(10万円払ってもいいと思っていた)Aさんではなく、Bさんに商品が渡ってしまいます。Aさんは「なんなら10万円出してもいいと思ったのに、ちくしょう!」と思ってしまいます。また、商品を売る側も10万円で売れる可能性があったものを8万円で手放してしまったわけです。
セカンドプライス方式なら、この状況を改善することができます。
Aさんが10万円まで支払う意志があれば、Aさんは10万円を宣言してしまえばいいのです。それが最大の評価額であれば確実にBさんに勝ち、Bさんが頑張って8万円、9万円とより高い金額を提示していれば、売る側も結局はファーストプライスオークションと同じだけの金額で商品を売ることができます。
今回はゲーム理論を利用したセカンドプライス・オークションについてご紹介しました。
売り手買い手に限らず、身の回りの人とwin-winの関係を築くためにも一度ゲーム理論を学んでみてはいかがでしょうか?
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