チャイナリスクを体現する中国の群体性事件とは

中国の群体性事件の画像
みなさんは「群体性事件」という近年の中国社会を読み解くキーワードを知っていますか?
群体性事件とは、中国の民衆による集団示威行動をことを言います。
集団示威行為とは、民衆が政府や企業のトップを対象として起こすデモや直訴などを集団で行う行為です。
中国語で群体性「事件」と呼ばれるわけですから、こういった集団示威行為は違法であるというニュアンスが含まれていますが、現実には群体性事件の発生件数は、1993年から2006年にかけて1万件から9万件に激増しており、ここ最近では十数万件にも達すると言われています。またその参加者も73万人から376万人へと急激に増えているのです。

なぜ群体性事件が多発しているのか?

群体性事件の背景には、住民の政治参加が制度化されていない中国では、政府への不満を表明する手段が極限られていることがあります。その中で、直接的なデモや陳情は政府へ不満を表明し、事態の改善を図るための数少ない手段なのです。
とりわけ、中国の農村部では、役人が権力を掌握し、住民が不利益を被るという構図が慢性化しています。そのため、群体製事件は都市ではなく農村部で多発してきたという特徴があります。

広東省烏坎村(うかんそん)の事例

2011年には、広東省烏坎村で農地開発の利益配分と村民自治をめぐる群体性事件が生じた。
wikipediaによると、

 烏坎事件(うかんじけん)は、2011年に中華人民共和国広東省汕尾市に属する県級市陸豊市にある東海街道烏坎村で発生した、民衆による運動を発端とした事件。2011年9月に地元政府役人が農民らが耕作している土地の権利を無断で開発業者へ売却した問題が露呈。開発業者は宅地建設を開始したり土地の周囲に柵をつくり開発用地としての確保を実行したことで地元民と衝突、死者も発生した。村民は役人の横暴を阻止するため、自治をめざして活動を続けた。12月には大規模な住民運動が発生し、村の幹部が更迭に追い込まれる事態となった。
2012年2月1日、烏坎村村民は村民選挙のための11人による村民選挙委員会を結成。3月3日、村民有権者8,000人の直接投票による初の村幹部選挙が行われ、この運動を指導した住民リーダーが新しい村長に当選した。中国において住民の抗議運動によって直接選挙で村長選挙を勝ち取ったケースは全国でも珍しいもの。
これをきっかけに広東省の方々では地方民主化の機運が高まっているが、政府は認める様子は示していない。

 
このように中国の農村部では、役人が横暴の限りをつくしており、農民の地方政府への不満が溜まっている状態にある。烏坎事件の事例では、住民が不正を正そうとして、結果として住民自治という民主化が実現した。間違ってはならないのは、群体性事件は民主化を要求する行為ではないということである。
近年では、チャイナリスクという言葉が飛び交い、一度は中国に進出した企業が撤退したというニュースが流れてくる。中国国内でもこのような社会的な事件が多発しているのです。人件費の安さに惑わされず、中国進出は社会不安や社会構造を学びじっくり考えてから決断すべきでしょう。

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