図書館員が教える図書館の本に付いている番号「請求記号」って何?

図書館の本の背表紙に貼られているこんなシール。
この番号の意味について解説します!

まずは日本十進分類表(NDC)を知ろう

この番号は「日本十進分類法」  (NDC: Nippon Decimal Classification) と呼ばれるルールに沿って割り振られており、数字を並べることで大まかな分類から細かい分類へと分けていく役割をしています。

そしてこの番号は正式には「請求記号」と呼ばれます。
この「請求記号」は、数字だけでその本がどんな内容かを示すかという情報の他、図書館の中では「本の住所」として機能しています。

NDCは、日本図書館協会内に設置されている分類委員会が作成したもので、現在日本の公共図書館・大学図書館の9割以上がこのNDCによって本をジャンル分けしているので、自分がよく読むジャンルの数字をざっと覚えておけば日本国内のどこの図書館でも本を探すのが楽になります。

また、図書館で司書として働くためにはこのNDCが頭に入っていないと資格を取得することも採用試験を突破することもできません。
実は図書館の中だと、本のタイトルや著者名よりも請求記号を使って仕事をする方が断然確実で便利なのです。

今は大抵の図書館がWeb検索システムを導入しており、近くの図書館に希望の本があるかどうか行く前にインターネットで調べることが可能になりました。その際、請求記号をメモしておくと実際に図書館に行って司書の方に「この本はどのあたりにありますか?」と聞いた際にスムーズに案内をしてもらえます。

バックヤードの書庫も請求記号で本が収納されているので、書庫にその本がある場合でも請求記号が分かればすぐに取り出して来てもらえます。

「図書館員は座ったまま本を触っているだけの楽な仕事」ではないんです!
では、その「NDCのルール」とは一体どのようなものなのでしょうか?

「第1次区分」NDCの一番大きな分類

請求記号は整数3桁が基本ですが、その3桁目の数字、要するに一番先頭に来ている数字が一番大きなジャンルとなります。
そしてその数字を「第1次区分」と呼びます。「類目」と言うこともあります。
この第1次区分には0から9までの数字が使われ、全てにジャンルが設定されているのです。

0:総記

「総記」というと聞きなれないジャンルですが、図書館や読書など「本」全般に関する内容のものや、百科事典、新聞、雑誌、論文集などのことを指します。
内容がいろいろな分野にわたる本や、逆にほかのどの分野にも振り分けられないようなものと考えて貰えればOKです。

1:哲学

その名の通り、人の心や思想・宗教に関する本を指します。心理学、占い、神話などもこの番号に入ります。

2:歴史

国内外の歴史、伝記や地理、旅行ガイドなどは2から始まります。次に来る2桁目の数字で、さらにどこの国かを表します。

3:社会

政治、法律や経済、仕事、教育などの世の中で起きていることについて知りたいときはこの番号を探しましょう。
また、文化や伝説、妖怪・妖精などの民俗学の分野もここに入ります。

4:自然

動植物、宇宙などに関する本のほか、数学や理科も含まれます。
図鑑もここに入りますので、お子さんが動植物の図鑑を見たいといった場合は4から始まる棚へ連れて行ってあげてくださいね。

5:技術

建築から乗り物、機械などの工学や、化学・製造といった工業について集めているのがこの分野です。
また、裁縫や料理、育児などの暮らしに関する分野も「家政学」や「生活科学」としてここに入ります。

6:産業

農業、商業、交通などの世界の産業についての本は6の番号から始まります。
また、「獣医学」として動物の飼育についての本や園芸も「産業」に入りますので、ペットやお花の育て方を知りたい方は6から始まる棚で本を探してみましょう。

7:芸術

これも文字通り、美術史や絵画、彫刻、工芸、写真など芸術全般の本を指します。音楽や映画、娯楽なども芸術に入っていますので、楽譜やマンガも7から始まります。
また、茶道や華道といった芸事や、意外なところではスポーツもこの芸術の分野に入っています。

8:言語

日本語はもちろん、各国の外国語の文法や発音に関する本が属しています。辞書もここになりますので、語学の勉強をしたいときは8から始まる本を探してみてください。
ちなみに2の「歴史」同様、2桁目の数字でどこの国の言語か分かるようになっています。

9:文学

皆さんが図書館で手に取った本の多くは、この9から始まる番号が付けられていたのではないでしょうか。
小説・物語をはじめ、詩、短歌、俳句、評論などがこの分野になります。戯曲もここに含まれる上、ここも2桁目の数字でどこの国の文学かが分かるようになっていますので、海外の演劇やオペラのシナリオを探したいときは9から始まっている棚をチェックしてみましょう。


以上が本の一番大きいジャンルとなる「第1次区分」です。
これで冒頭の「943」という番号の画像は「文学」の本を示していることがだいたい分かったのではないでしょうか。
この「整数3桁の一番最初の数字」が何を表しているか、そして自分が興味のあるジャンルの数字を知っておくだけでもぐっと本を探しやすくなりますよ。
そして、この後の2桁目1桁目の数字にもより細かいジャンルが割り振られているのです。

「第2次区分」NDCの中ジャンル

一番左端の数字が「第1次区分」と呼ばれる大きなジャンルということは、もちろん「第2次区分」もあり、その次に大きいジャンルというのも設定されているのです。
その「第2次区分」と呼ばれるのが、2桁目の数字。ここでは「中ジャンル」と捉えておいてください。
この2桁目の数字も0〜9まであり、その全てに大ジャンルを更に細かく分類したジャンルが当てはめられています。
例えば、3桁目の数字が0の総記の場合、2桁目が1だと「図書館」に関する書籍を示すということになります。(例: 010、015等)
2桁目が2で「020、029」等だと「図書・書誌学」といった書籍そのもに関する内容のもの、3が2桁目に来ると百科事典を表します。
3から始まる「社会」の分類では、2桁目の数字が1なら政治、2なら法律、3は経済、4が財政…といった風に設定されています。なので図書館へ行って「法律の勉強をしたいけれど、『社会』の棚のどこを探したら良いのか分からないよ…」と思ったら「320」番台のラベルが貼られた本を探し出せば良いのです。
楽譜を7の「芸術」の分類の中から探したければ、「音楽」を表す6の数字が2桁目に来ている「760」番台が並ぶ辺りを見てみましょう。
「何で音楽が6なの?どうして1が政治になるの?」という疑問はここでは飲み込んでください。
「そう決められているから」です。
特に意味はないんです。
0〜9の数字それぞれに、さらに0〜9が割り振られている形になりますので全ての第二次区分をここに記載するのは控えますが、8:言語と9:文学においては2桁目の数字は国を表します。

  • 0→全般
  • 1→日本
  • 2→中国語、その他東洋
  • 3→英語
  • 4→ドイツ語
  • 5→フランス語
  • 6→スペイン語
  • 7→イタリア語
  • 8→ロシア語
  • 9→その他の諸言語

と定められており、英語の辞書は「830」番台、日本国内の小説は「910」番台といった具合に書棚に並べられています。
ここでも、「なぜ英語は万国共通語なのに3番目なんだ?!」という気持ちは抑えておいてください…。

「第3次区分」さらに細かいジャンル

これまで、
「3桁目の第1次区分→本をざっくりと分けた一番大きいジャンル」、「2桁目の第2次区分→3桁目がざっくりすぎて曖昧なので、そこからもう一歩分かりやすくした中ジャンル」と解説しました。
さらに第1次・第2次ともに0〜9までの数字が割り振られており、その数字でジャンルを表す、とも。
ということは、一番最後の1桁目にあたる「第3次区分」の数字も、それらのジャンルをさらに細かく指定する役割であるということにお気付きになられたのではないでしょうか。
例えば、

  • 第1次区分が9(文学)
  • 第2次区分が1(日本)

だとしたら「日本文学」を指していることが分かります。
しかし、小説以外に論文集や文学史、雑誌のような逐次刊行物なども「91」で始まるので、「日本文学=上2桁が91」だけの情報では、自分が読みたい本に辿り着くにはまだまだ遠いのです。
そこで細分化するのが1桁目の数字、第3次区分。これにも0〜9までが割り振られています。
91から始まる「日本文学」における第3次区分を例に挙げると、

  • 0→全般
  • 1→詩歌
  • 2→戯曲
  • 3→小説、物語
  • 4→評論、エッセイ、随筆
  • 5→日記、書簡、紀行
  • 6→記録、手記、ルポタージュ
  • 7→アフォリズム、寸言
  • 8→作品集
  • 9→漢詩文、日本漢文学
  • といった割り振りとなります。

0は第2次区分でも全般を表す数字ですので、90から始まる「文学」自体の第3次区分になると、

  • 0→文学全般
  • 1→文学理論・作法
  • 2→文学史、文学思想史
  • 3→参考図書
  • 4→論文集、評論集、講演集…

といった具合に変わってきます。
この第3次区分は、第1次区分・第2区分に即したジャンル分けになっており、
上2桁が61になる「農業」だと

  • 0→農業全般
  • 1→農業経済
  • 2→農業史・事情
  • 3→農業基礎学
  • 4→農業工学…

となったりするので、自分がよく読む分野の本の番号を3桁まるっと覚えておくのが、目的の本に辿り着く近道です。
「なぜ戯曲が2?」「どうして3が農業基礎?」などと考えてはいけません。
機械的に覚えてください。
なぜなら「そう決められているから」です。世の中には考えても仕方のないことがあるのです。

全ての第3次区分を書くとキリがないので、自分がよく手に取る棚の番号を知っておきたいという方はまたこちらから希望のジャンルをクリックすると第3次区分までを見ることができます。

図書館・図書室の本の謎のシールについて、お分かりいただけたでしょうか?
えっ、余計に分からなくなった?
確かに、NDCの数字列は慣れるまでは難しいかもしれません。そんなときは好きな3桁の数字を持って図書館のその番号の棚へ行き、実際にそこに置かれている本のジャンルを眺めてみましょう。
「902の文学史・文学思想史ってこういうのかぁ」「なるほど、こういう本が613の農業基礎学なのね」と何となく分かって来ると思います!

いや~、図書館にも様々な歴史があるのですね。この機会に、歴史学を深めたいと思った方はこちらのオンライン講座もどうぞ。

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コメント

  1. コクタ タカヒロ より:

    私は図書館について全く知識がなく只今勉強をしてました。
    請求記号にそのような意味がある事がわかりとても勉強になりました。
    ありがとうございます。大変よくわかりました。
    申し訳ありませんが教えて頂きたいのですが、書架分類と書誌分類とはどういうことなんですか?

    • ShareWis Press より:

      コメントをいただきありがとうございます。
      書架分類と書誌分類の違いですが、書架分類は図書館の本の背表紙などに実際に貼られるラベルに印字されている番号です。基本的に1冊の本に1つの番号のみ割り当てられます。この番号に応じて特定の棚に本が並べられます。
      一方、書誌分類は1つの本に対して、複数つけることができ、図書館の検索システムなどで検索するときのラベルとして用いられます。