ゲシュタルト崩壊のゲシュタルトってどういう意味?

SNSやブログでたまに目にする「ゲシュタルト崩壊」という言葉があります。

「文字やデザインが引き起こす目の錯覚のこと?」

「ゲシュタルト崩壊って響きがカッコイイから正しく使いたい!」

と思われる方も多いのではないでしょうか。

実は、「ゲシュタルト崩壊」という言葉は、ナチス・ドイツの虐殺の歴史とタブーを孕み、決して安易に使える言葉ではないのです!






というのは、ウソで
ドイツ語のGestaltzerfall、直訳すると、ゲシュタルトの崩壊という意味です。

ゲシュタルト崩壊のゲシュタルトの意味

ゲシュタルト(Gestalt)とは、ドイツ語で形や形態、全体といった意味です。

また、ゲシュタルト崩壊と言われる知覚の現象における、ゲシュタルトは、「ゲシュタルト心理学」が背景にあります。
「ゲシュタルト心理学」は、1910年代にドイツで形成された心理学の一学派です。

M・ウェルトハイマーやW・ケーラー、K・コフカなどといった研究者たちが「ゲシュタルト心理学派」と呼ばれる一派を形成した。…(中略)私たちが何かものを見た瞬間、パッとそのものを1つの全体としてとらえるものだから、モノの見え方を細かく分解していったとしても、必ずしもそのメカニズムが解明できるわけではない、と主張したのである。「はじめに全体ありき」というのが、この学派の基本的な考え方なのである。

『図解雑学 心理学入門』より

この考え方は、そもそも「心理学の父」と呼ばれるドイツのW・ヴントの考え方です。

科学現象と同様、人の心もその構成要素に分解すれば理解できるはずだという「構成主義」に対する批判として提唱されたもので、心をある瞬間に意識にのぼった経験の全体だと捉えましょうという考え方です。

話はそれますが、先ほど、「ゲシュタルト崩壊」とナチス・ドイツの虐殺の歴史が関係ある、というのはウソだと述べましたが、歴史的には、ナチス・ドイツが1933年に政権をとった後、ゲシュタルト心理学派は激動の時代を迎えました。
当時の心理学者にはユダヤ人が多く、教壇からの追放、研究活動へのナチズムの圧力があったのです。
彼らはナチズムを逃れアメリカに亡命するなどゲシュタルト心理学の活動もナチズムの影響を受けています。
多くの心理学者がアメリカに亡命したことが、後にアメリカで心理学が発展する基礎となりました。

ゲシュタルト崩壊とは何の崩壊ですか?

さて、ゲシュタルト崩壊と呼ばれる知覚現象の背景にある、言葉の意味や心理学派の歴史と考え方を見たところで、「ゲシュタルト崩壊」について見ていきましょう。

「ゲシュタルト崩壊」は、1940年代にドイツの神経学者であったC・ファウストが報告したもので、全体性のあるまとまりを持った構造であるゲシュタルト (Gestalt)が、個々のパーツがバラバラに認識されてしまう現象です。

1947年、C・ファウスト(C. Faust)によって失認の一症候として報告されたが、持続的注視に伴って健常者にも生じることが知られるようになった。認知心理学の視点から「文字のゲシュタルト崩壊」が研究されている。これは、例えば同じ漢字を長時間注視しているとその漢字の各部分がバラバラに見え、その漢字が何という文字であったかわからなくなる現象である

出典: ゲシュタルト崩壊 – Wikipedia

では、実際に体験してみましょう。

これを、30秒くらい、じーっとみてください。

怠という漢字が縦に4行、横に9列並んだ画像

怠ける(なまける)、怠慢(たいまん)の「怠」という漢字でしたが、この漢字が何と言う漢字だったか失認する状態になりませんでしたか?

これが、「ゲシュタルト崩壊」です。

不思議な現象ですね。

この現象は、文字、幾何学図形などの視覚的な情報で起こることはよく知られますが、音楽などの聴覚情報や皮膚感覚などでも起こることがあるようです。

つまり「ゲシュタルト崩壊」「崩壊」とは、全体性あるまとまりの認識が崩壊するということですね。

「ゲシュタルト崩壊」の背景や現象が分かったと思いますのでキャッチな言葉は自由に使いましょう。ぼうっとしてものを眺めていて光景が変わっていくような感覚、自分がなくなっていくような感覚なども「ゲシュタルト崩壊的なーw」と、適当に応用して使ってみてもよいかもしれませんね。

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