最近、AI = 漂流者(ドリフターズ)ではないかという考えを持っています。
今回は、その考えの源泉について考えを深めてみたいと思います。
今回の記事は、一部ドリフターズの内容について軽く触れます。ネタバレにご注意ください。
結論から書くと、AIはこれまで人間が培ってきた常識をかき回す存在であり、まさにドリフターズ作中にある漂流者の役割と一致しているのではないか、と考えています。
漫画ドリフターズとは
ドリフターズは、平野耕太のマンガで、現在ヤングキングアワーズで連載中で、現在アニメも放映中です。
この作品では、エルフやドワーフが住む指輪物語的な西洋ファンタジーの世界が舞台になっています。
そこに、島津豊久や織田信長、那須与一、ハンニバル・バルカといった歴史上の偉人が迷い込みます。
この世界に迷い込んだ歴史上の人物たちは漂流者(ドリフターズ)と呼ばれ、それまでの世界には存在しなかった文化、文明を持ち込み、世の中を大きく動かしていきます。
AIとドリフターズ
先日、将棋プロ棋士の羽生善治さんのAIについての講演がありました。
その様子はこちらの記事などで紹介されています。
プロ棋士・羽生善治が語る、AI時代を生き抜くために「身につけるべきスキル」とは?|CodeIQ MAGAZINE
この講演の中で面白かったのは、将棋ソフトが矢倉という定石の破り手を見つけたという点です。
では強い将棋ソフトが登場したことで、人間はどう変わっているか。ここ2年ぐらい、コンピュータの新手がプロの公式戦に影響を与えるようになってきました。
例えば矢倉。「矢倉を制するものが棋界を制する」と言われ、本格派は必ず矢倉を指します。それだけに一番深く研究されてきており、ここ2年ぐらいで矢倉を使う割合が激変しているのです。その理由は、あるソフトが見つけた新手を矢倉ではどうして打ち破ることができないので避けるようになってしまっているんです。
ここで言われている矢倉という手は、Wikipediaによると江戸時代には既に登場していた手だそうです。
矢倉囲い – Wikipedia
江戸時代から使われ続け、研究され続けてきた矢倉を破る手をAIが見つけることができたのはなぜでしょうか。
それは、AIに人間的な常識がないからです。
羽生善治さんも講演中にこのように言われています。
「こういう形は嫌だ」「こういう形はおかしい」と、きめ細かなこだわりを洗練さえていくことで取捨選択をしていきます。ですが、AIが入ってくると美的センスは関係なくなるため、形が悪かったり、いびつだったりするものの中に、いい手が隠れていることもあるでしょう。
ここで、ドリフターズにつながってきます。
作中、織田信長は自分たち漂流者(ドリフターズ)を「思考の差異者」と捉えます。
これまでの西洋ファンタジーの世界観ではありえなかった物事の考え方、捉え方をすることで、ドリフターズは世の中に変革を起こします。
AIが江戸時代から続く棋士たちの研究とは全く違う思考方法で矢倉を破ったのと同じです。
いずれAIに仕事を奪われるという話をよく聞きます。
実際、自動車の自動運転技術は、日増しに発達しています。
いずれトラックやバス、タクシーなどの運転手という職業は変化していくでしょう。
その際に、タクシー運転手の役割は、運転ではなくお客を楽しませることに移るかもしれません。
しかし、それもsiriやりんなのようなAIの発展型に仕事を奪われるかも知れません。
今後どのようにAIとか変わっていくのか。
思考の差異者との関わり方を考える必要があるでしょう。
もともとドリフターズは面白い漫画なのですが、 思考の差異者≒AI との関わり方という切り口で読み直すと、また違った面白さが見えてきました。
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