2015年10月31日に、東京都の多摩市立愛和小学校で、プログラミングの公開授業がありました。
子どものプログラミング教育は、関心が高まりつつありますね。
この公開授業はCNETでも紹介されました。
市立愛和小のプログラミング教育レポート(第1回):世界初! 「Tickle」でBB-8とドローンを操る
こちらの授業にサポート役として参加したのですが、イベントの裏話をお伝えします。
多摩市立愛和小学校のプログラミング授業の背景
この授業は、安川要平さん、石原淳也さんによる『ラズベリーパイ版「スクラッチでピタゴラ装置を作ろう!」』というワークショップを基に設計されました。
さらに上記のワークショップは、Scratch@MIT 2012 で行われた「Physical-Digital Chain Reaction: WeDo and Scratch」をベースにしています。
今回の授業では、「Tickle」という、モノとの連携がユニークなビジュアルプログラミングが行えるiPadのアプリを使いました。このTickleの日本へのローカライズを担当した3人のうちの一人が、日本でピタゴラ装置のワークショップを推進された安川さんでした。ちなみに、Tickle日本版のキーマン他2名は、阿部和広さんと林向達さんです。
今回、Tickleを使う愛和小のアドバイザー兼支援講師として安川さんが入り、プロジェクトを進める中、彼の持ちネタでもある「ピタゴラ装置」を応用してみよう、とわくわくする企画がスタートしたのです。
ラズベリーパイ版「スクラッチでピタゴラ装置を作ろう」
今回のTickleを使ったピタゴラ装置の制作活動を通じ、画面上の体験だけではなく、フィジカル、身体的な要素を組み合わせながら、コンピューターをより良く知ることができます。
さらには、隣で装置を作っている他の子どもとプロジェクトを連携する必要もあり、チームでものを作る際のチームワークの重要性も学ぶことができます。
裏話1:さらにユニークな授業案もあった!
上記の映像をご覧になって、「ワークショップは、大成功!」と感じる方が多いかもしれません。限られた準備期間、授業時間の中では、本当に良い活動が提供できました。授業を主導された愛和小の先生からも、手応えのあった活動だ、とコメントをいただきました。
一方で、Physical-DigitalのChain Reactionという観点から、もっとユニークな授業案も安川さんは持たれていました。
Tickleは、連携するモノをプログラミングするツールという印象が強いのですが、「オルカ」というシャチのキャラクターもいます。
案では、BB-8が障害物にぶつかった衝撃を受けて、デジタルのオルカが動き出して、オルカがデジタル画面で障害物にぶつかったら、リアルなBB-8が動きだすという、ピタゴラ装置がありました。
実施できればおもしろい活動になったことでしょう。今回は、「オルカ」のプログラミングやスクラッチでお馴染みのねこ歩きのオルカ版は、公開授業の前の週の事前授業で子どもに体験してもらいました。
裏話2:BB-8の頭はジャマだった!?
今回使用した、スターウォーズのBB-8のドロイドのおもちゃ(Sphero社)は、本当に良くできた製品でした。
ただ、検証で、BB-8の頭がジャマになることがわかってきました。
今回の授業ではBB-8がぶつかった衝撃にセンサーが反応し次の動きにつながるのですが、スピードが出てくると頭からぶつかることが多く、頭がセンサーがある本体の衝撃を緩和してしまうのです。
授業では、写真のように頭を外して装置を作り上げました。リアルな検証は大事ですね。
裏話3:ドローンはただの打ち上げ花火ではなかった
今回の授業では、完成した装置の最後に、ドローンが打ち上がる仕掛けがありました。
公立小でドローンを使った授業として、話題にもなりましたが、ドローンは話題性だけを狙ったものではありません。
「ピタゴラ装置」モデルのワークショップとして、ドローンを使う学習効果の見込みが、まずありました。それはチーム活動のゴールを明確にし、成功したときの達成感や記憶に残りやすいという効果。次の裏話につながりますが、学習効果の見込み(仮説)を持っていたからこそ、大変な準備をしてドローンを導入しました。
裏話4:ドローンを授業で使うための安全性チェックが大変だった
授業でドローンを使うにあたって、さまざまな安全性のチェックを行いました。
ドローンでまず危険なのは、折れた羽根が目に入り、重篤な怪我につながるということです。ドローンの羽根は、保護パーツがあるものも多く、今回のドローンにも保護パーツはありました。それに、使用したドローンは非常に小型です。それでも、子ども約20名がいる教室でドローンが自由に飛び回ったら、何が起きるかわかりません。
そこで過去のワークショップ実績に加え、さらなる安全策の工夫を施しました。小型ドローンの使用の他、環境として配慮したのは、以下2点です。
- 安全メガネの着用(過去のワークショップの実績がありました)
- 飛行スペースと子どもたちを仕切る透明ボード設置
ドローンの飛行プログラムは、離陸と垂直方向の飛行と、とんぼ返りに限定して安川さんが管理していたので、約180cm×100cmの透明ボードの設置があるだけで安心して実験に集中できました。
反省点としては、何度も失敗する中で、集中力が切れた一部の子どもが、メガネを外してしまう瞬間があったことです。
これには、ヒヤっとしました。今回はメガネの数の都合、先生と支援員はメガネを着用しなかったのですが、本来なら指導側こそ着用して見せる意識付けが必要だったかもしれないと、内心で反省しました。
裏話5:大量の安全用メガネの購入店はダイソー
大活躍の透明ボードは島忠ホームズで購入。
安全メガネはダイソーで大量購入しました。
安全メガネが100均ショップで売っていることも、先行するワークショップの周辺のネット情報から参考にしました!
アクセンチュア×CANVAS 課題解決型ロボットプログラミング講座
裏話6:TickleがApp Storeから締め出された
2015年11月30日時点で、TickleのアプリはAppS toreから締め出されていました…。
が、Tickleはその後公開状態になっています(2015年12月頃に公開)
TickleのHour of code イベント
裏話7:愛和小のプログラミング授業の支援で活躍された、安川要平さんは…
愛和小のプログラミング授業のアドバイザー、講師支援で活躍された安川さんは「子供向けIT教育から,Ruby/Railsアジャイル開発まで、オープンソースと共に活きる小規模分散型のチーム」ヤスラボを主宰しています。ShareWisでは、「Ruby on Rails チュートリアル(質問対応版)」のコースを公開中です。
国内最大級の実績のあるRuby on Railsのオンライン学習コースに、ShareWisのRubyistの質問対応がついた、本格コースです。
2015年11月に島根県松江市で開催された、「RubyWorld Conference」における安川さんの登壇でも紹介がありました。
国内最高峰のRuby on Railsの学習サービス(現役Rubyistによる質問対応付き)を是非チェックしてみてください。
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