映像制作の観点から映画鑑賞してみよう!

みなさん寒い季節がやってきましたね。
なかなか外に出るのも億劫になる季節ですが、その間お家で何をして過ごそうか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
そんなときにおすすめしたいのが映画鑑賞です。映画館での鑑賞はもちろんのこと、お家や学校に集まって鑑賞会をするのもいいですね。
といっても、普通の映画鑑賞ではなく、制作者側の気持ちにたった映画鑑賞法を実践してみませんか?
つまり、制作者がこのシーンではどういう描写をしたかったのか、映像制作の観点から鑑賞するというものです。
具体的な例をいくつか挙げてみましょう。

カメラの高さに注目してみる

ビデオカメラで撮影している男性カメラマンの画像

撮影しているカメラの高さ、いわゆるカメラポジションには意味があるのです。
一般的には、アイレベルで撮った映像は、現実的、日常的に、ハイポジションで撮った映像は、説明的、爽快に、ローポジションで撮った映像は、安定的、劇的になりやすいと言われています。
「このシーンはハイポジションなので、説明的な描写なんだな」など、制作者側の意図を汲み取りながら鑑賞したり、「このシーン迫力あるな。ああ、ローアングルで大きく映しているからなんだ」と納得しながら鑑賞するのも良いかもしれません。

フレームサイズに注目してみる

フレームサイズの説明の図

次に、撮影されている映像のフレームサイズに注目してみましょう。
フレームサイズの中でも、ロングショット(遠景)、フルショット(中景)、バストショット(近景)、クロースアップショット(接近)を見ていきましょう。
ロングショットでは、説明カットとして使われます。フルショットでは人物の体全体の動きを見せたいときに使われ、バストショットでは表情や上半身の小さな動きも伝えたいときに使われます。
最後にクロースアップショットでは、一部分を強調するときに使われます。
つまり、上記のフレームサイズに注目してみることで、そのシーンで制作者側が何を強調したいのかを推測することができます。
感動のあのシーンはどんなところを強調しているのでしょうか。

カメラの角度に注目してみる

最後に、カメラの角度に注目してみましょう。
傾斜した角度で撮影するショットを、『ダッチ・アングル』といいます。
ダッチ・アングルは登場人物の恐怖、不安を表現することに適していると言われています。不安定な角度は、それだけで不安になりそうな視覚効果がありますね。
人は強い感情を持って行動(例えば、振り向いたり、目で対象物を追ったり)するとき、同時に首や体も多少傾けるものです。傾いたアングルは、そういった感情、心理状況を制作者側が伝えるために用いられることが多いです。
余談ですが、これは映像だけではなく漫画でも見られる表現です。漫画においてのダッチ・アングルは、不安を煽る以外にも、視線の導線を繋ぐことに適しています。導線を繋ぐことによって、スピード感やリズム感を生み出しているんですね。


いかがでしたか?
映像作成手法に注目して作品を見ることで、より映画に対しての理解が深まり、また作品の特徴を抑えることができます。
例えばハイポジション、ロングショットを多様する映画は、少し物語を俯瞰するような視点で鑑賞してほしいという意図があるのかもしれません。

サウンド・オブ・ミュージック (日本語吹替版)

大自然の美しい景色が魅力のサウンド・オブ・ミュージックが代表的ですね。ヘリコプターから撮った冒頭の映像は、思わず見惚れてしまいそうになります。

迫力のあるローアングルといえばこの映画

Kane Opening

動かない大豪邸を映しているだけなのにすごい迫力。ダッチ・アングルも使用し、とんでもなく不気味な様子が表現されています。

また、今回ご紹介したのは映像制作手法のごく一部です。
この他にもティルトやパンニングなどといった、固定カメラを上下左右に振る手法などがあります。これは広い場面を映すときに使われます。もちろんそれだけではなく、動かないものを撮影する際にも使われるなど色々な効果を持っています。
一度見た映画も、上記の手法を使って見直してもいいかもしれませんね。

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