野人流忍術「野忍」の忍者修行体験レポート – 九字の印と手裏剣を体得!

筆者は先日、野人流忍術の忍者修行を受けてきました。

今日はその体験レポートを紹介します。

以下は忍者修行の主催者である野人流忍術「野忍」のホームページより。

野人流忍術「野忍」は、文字通り自然豊かな「野外環境」を活用した忍術修行プログラムです。流派を超えて、現代社会で役立つ忍術を追求し、技だけではなく、根底に流れる「和の心」を感じ、養うプログラムを目指します。

忍者修行イベントの実際の写真

こちらの忍者体験ワークショップは、小学生向けながら、内容は本格的なものでした。

忍者修行体験から学んだことをお伝えします!

忍者はいつからいたの?

イベントでは、最初に「忍者はいつからいたのでしょうか?」といった質問が、講師の方からありました。

戦国時代! 江戸時代!、鎌倉時代! もっとまえー!

といった答えが子どもから上がりました。

筆者は、戦国時代くらいかなー、と考えていました。

講師からの答えはなんと「わからない」とのこと。

なぜかと言うと、「忍者の仕事は、目立たず、表に出ない仕事。だから正確には、いつの時代から忍者がいたのかは、わからないのです」とのことでした。

なるほど!

その上で、忍者のような働きをする人がいたことは、日本最古の正史『日本書紀』(720年完成)にも書いてあると教えてもらいました。あの有名な聖徳太子が忍者を使っていたなんて、ちょっとドキドキしますね。

聖徳太子と忍者のイラスト画像

補足:聖徳太子と忍者

  • 『日本書記』には、601年(推古9)年、「新羅からやってきた間諜(つかみ;スパイ)を対馬(つしま)で捕らえた」とある。
  • 587年(用明天皇2)年に勃発した物部氏と蘇我氏との戦いにおいて、情報収集に暗躍した大伴細入(おおとものさいにゅう)が聖徳太子より「志能便(しのび)」の名を授かったとか。

『TheNINJA-忍者ってナンジャ⁉︎-公式ブック』より

忍者って実際何やってたの?

参加したイベントでは、次に「みなさん、忍者はどんなことをしていたか知っていますか?」と問いかけがありました。

戦い、変装、スパイ…

といった答えが子どもからあがりました。

筆者も、スパイ活動なんだろうなぁと考えました。

これについても、講師からの答えはなんと「わからない」とのこと。

「忍者は、隠れて目立たず仕事をするものでした。だから忍者とは、こういうもの!という正確なところはわかっていないのです。一般的には、みんなの答えはどれも正解で、スパイのような活動、変装もしたし、必要なときには戦いもしていたようです」と答えていました。

納得です。

表に出ないから、謎な一面もり、それがまた想像をかきたてられ、マンガや小説であれほど魅力的に忍者が描かれることにつながるんでしょうね!

補足:忍者とは

忍者とは何者なのか、きちんと説明できる人はほとんどいません。

忍者の主な仕事は情報収集です。情報を得るためには、相手に悟られず、目立たずに行う必要がありました。戦国時代、忍者は戦国大名の傭兵として活躍します。雇い主が戦に有利になるよう、敵側の戦力などの情報を収集するために、さまざまな忍術を用いて忍び込みました。忍び込むのに証拠を残しては忍者失格です。そのため、忍者に関する史料があまり残っておらず、その実態は今も研究が進んでいる最中です。

『忍者の教科書 新萬川集海』より

忍者の読みは「にんじゃ」じゃなく「しのびのもの」!?

さて、ワークショップで教わったことでおもしろかったのは、「忍者 」の読みは「にんじゃ」ではなかったこと。

実は、忍者が「にんじゃ」と呼ばれるようになったのは意外と最近のことで、戦後になって小説やマンガ作品を通して「にんじゃ」という呼称が定着したとのことです。

補足:忍者の呼称

ちなみに、「忍者」は歴史的には、「しのびのもの」が、正しい読み方です。「にんじゃと」いう読み方は、小説やドラマなどの創作物が元で、昭和時代以降からです。

『忍者の教科書 新萬川集海』より


忍びについての辞書での説明は、十七世紀初頭に長崎で発行され、日本語をポルドガル語で解説した『日葡辞書』に記されている。Xinobi.シノビ(忍び)戦争の際に、状況を探るために、夜、または、こっそりと隠れて城内へよじ上ったり陣営内に入ったりする間諜。

『忍者の歴史(角川選書)』より

ネットや他の資料からも、いわゆる「忍者(にんじゃ)」と呼ばれる者には統一名称はなく、以下のような様々な呼称があったようです。

  • 乱破(らっぱ)
  • 素破(すっぱ)
  • 透波(すっぱ)
  • 奪口(だっこう)
  • 竊盗(しのび)
  • 草(くさ)
  • 風間(風魔・かざま)
  • 黒脛巾組(くろはばきぐみ)
  • 山潜り(やまくぐり)

九字護身法で印を結ぼう!

「臨(りん)、兵(ぴょう)、闘(とう)、者(しゃ)、皆(かい)、陳(ちん)、烈(れつ)、在(ざい)、前(ぜん)」と唱え、印を結ぶシーン、皆さんも漫画やアニメ、映画でご覧になったことがありませんか?

筆者は、中学生の頃に見た映画『孔雀王(荻野真・著)』のシーンでとても印象的に覚えています。

当時友人たちとも印を覚えたものです。三上博史さん主演の映画で、香港映画で大好きだったユン・ピョウさんの出演にも惹かれました。ドラマにひっぱりだこだったころの安田成美さんもヒロインで出演していました。

この「臨(りん)、兵(ぴょう)、闘(とう)、者(しゃ)…」の九字の印は、九字護身法として、忍術にもとりいれられています。

参加した忍者修行プログラムでも、野忍流忍術を主宰する講師の甚川先生が九つの印を結び、刀印を切りました。これには、わくわくしました。ただ、残念なことに中学生の頃に覚えた印は忘れてしまっていました。

修行体験では、手裏剣体験や弓矢づくりなどやることもたくさんあり、九字の印を覚えて実践する時間はありませんでしたが、甚川先生からは「印を結ぶことで奇跡のようなことが起こるわけではないが、結界をはるという意味があり、おまじないや精神集中の儀式のようなものです」とわかりやすい説明がありました。

九字の印、そして刀印はかっこよくて、懐かしくて…
でも、よく考えると『孔雀王』は、忍者映画ではないし、忍術と九字の印ってどのような関係なのだろうか?と疑問も浮かびます。覚えた印も、もう一度やってみたい!

書籍を参考に、調べてみましたよ。

補足: 印と九字護身法

非常に簡単にいえば、印(いん)とは、密教(みっきょう)の宗教理念を、両手と指で表したものだ。忍者のルーツのひとつである修験道は、平安時代に大陸から伝来した密教の教えを導入しており、印もどの時に取り入れられた。

『TheNINJA-忍者ってナンジャ⁉︎-公式ブック』より


九字護身法:晋の葛洪(かつこう)が著した「抱朴子(ほうぼくし)」(4世紀ごろ)内篇巻17「登渉(とうちょく)篇」には、山に入る時に唱えるべき「六甲神呪」に「臨(りん)兵(ぴょう)闘(とう)者(しゃ)皆(かい)陳(ちん)列(れつ)在(ざい)前(ぜん)行(ぎょう)」とあります。古代中国の道教で用いられる呪文です。「臨兵闘者皆陳烈在前」の九字を唱えながら刀印を結んで九字を切り、仏法の印を結んで、わが身に結界をはったのです。結界をはることで、邪気を退散させ、調伏する力を持つと考えられました。これが密教や修験道、陰陽道に取り入れられ、邪気を退散させ、煩悩を打ちくだく魔除けの法とされました。この修法が忍術にも取り入れられ、災難から身を守る呪法と考えられました。

『忍者の教科書 新萬川集海』より

密教や修験道、陰陽道に通じるところで忍術にも取り入れられている法なのですね!
現代の様々な漫画やアニメ、映画に登場するのも納得です。
何より、印の儀式や結界のイメージは、神秘的だしとてもクール!

九字護身法1:九字の印を結んでみよう!

それではみなさんも九字の印を結んでみましょう!

参考『TheNINJA-忍者ってナンジャ⁉︎-公式ブック』

臨(りん)!
独鈷印(どっこいん)
左右の指を組み、中指だけ立て合わせる。

兵(ぴょう)! 
大金剛印(だいこんごういん)
「臨」の状態から、人差し指を同じ手の中指に絡める。

闘(とう)!
外獅子印(げじしいん)
左手の人差し指に、右手の人差し指と中指を絡め、2本の間に左手の中指を差し込む。薬指、小指は立て合わせる。

者(しゃ)! 
内獅子印(ないじしいん)
中指と薬指を内向きに絡め、人差し指と小指を立て合わせる。

皆(かい)!
外縛印(げばくいん)
両手の指を外に組み合わせる。

陣(じん)! 
内縛印(ないばくいん)
両手の指を内に組み合わせる。

烈(れつ)!
智拳印(ちけんいん)
左手の人差し指を立て、右手で握る。

在(ざい)! 
日輪印(にちりんいん)
左右の指を開き、親指と人差し指の先を付ける。

前(ぜん)」!
隠形印(おんぎょういん)
左手を握り、右手を寄り合わせる。

九字護身法2:刀印を結び九字を唱え切ろう!


参加した、忍者体験では、印象的な九字の印と合わせて、刀印も教わりました。これは、右手二本指を刀のようにして、鞘のように包み込んだ左手からぬき、九字を唱えながら右手で空を横と縦に切っていくような法になります。「臨→兵↓闘→者↓皆→陣↓烈→在↓前→」と、下の図のようになります。

刀印の順番を示した図
小さい頃、『孔雀王』に魅せられ覚えた九字の印を、大人になって本格忍者体験でまた経験するとは思っていませんでした。

忍者が唱えた呪文として有名な「九字護身法」も、魔法のような奇跡的な効果があるわけではないことは昔の忍者の時代から変わらないとは思いますが、この呪文の効果は、精神集中にあるということです。

印を結ぶと、不思議と高揚しつつも凛と研ぎ澄まされた気持ちになります。

近年の研究では、印を結んだ直後の集中とリラックスの高まりが顕著であることが報告されているようですよ!みなさんも印を結んでみてください!

忍者7つ道具ならぬ「忍者の6具」

印の結び方が分かったところで、続いて忍者の道具について紹介をします。忍者7つ道具ならぬ、「忍者の6具」です。みなさん忍者の道具で真っ先に思い浮かぶものはなんでしょう?

そう、「手裏剣」ですよね?

ただ、は残念ながら手裏剣は「忍者の6具」には、入っていません。

なぜかというと忍者は身を隠して潜入、スパイ活動を行うことが主な仕事であって、戦うのは非常時のことだからとのこと。

なるほど!

もちろん忍者は、ふだんから体術や戦闘術などの訓練もしていたらしいのですが、優秀な忍者ほど戦うような状況にはならなかったとのこと。

身分がばれて、戦うことになるのは、何かしくじってしまったような状況が多く、一流の忍者ほど戦わずして任務を全うしていたらしいのです。

そうは言っても、参加した忍者修行プログラムは主に小学生を対象としたもので、かっこよく手裏剣を使うことは子どもの憧れでもあるので、安全を配慮した丁寧な指導のもと、手裏剣投げ体験もありました!

手裏剣体験を楽しむ子どもたちの写真

そして筆者も、憧れの手裏剣を持つことができました!

筆者と手裏剣の写真

この手裏剣ですら、必須道具に入っていないという「忍者の6具」はいったいどのようなものだったのでしょうか?

その謎は…別の機会にご紹介します!

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