世界第百科辞典によると地政学とは、
地理的諸条件を基軸におき,一国の政治的発展や膨張を合理化する国家戦略論が地政学である。地政学という名称を最初に用いたのは(1916),スウェーデンの学者チェレン(ヒェレン)Rudolf Kjellén(1864‐1922)であったが,内容的にはドイツのF.ラッツェルが,すでに生存圏肯定の理論としてI.カントの政治地理学を再編成し直し,ドイツの植民地拡大政策の根拠づけを行っていた(1889)。ラッツェルとチェレンの生存圏,自給自足,大陸国家優先の地政学は,ドイツのK.ハウスホーファーによって受け継がれた。
というように書かれています。さて、なかなか堅い定義なので、柔らかくしたいと思います。
地政学とは何に関する学問かと言うと、政治現象と地理的条件の関係についての学問です。
ある国の選択する外交や侵略・防衛の政策は、支配構造やイデオロギーとは無関係に地理的条件のみで決定されるはずであるという考えに基づきます。上記の定義では、登場していませんが、地政学的な考え方の創始者は、イギリスの学者マッキンダーです。
彼は「ハートランド理論」を提唱しました。
ハートランド理論とは?
ハートランド理論はとてもシンプルです。
すなわち、ユーラシア大陸の心臓部を支配する国が世界を制覇できる、という理論です。
ユーラシア大陸の心臓部を支配する国は、そこがいかなる海軍の攻撃も受け得ない「聖域」なので、そこを押さえることができれば世界を制することができる、という理屈です。
例えば、モンゴル帝国や、オスマン帝国が全盛の頃、これらの国がどこに位置していたかを考えると、マッキンダーの主張を理解できるはずです。
第二次世界大戦でドイツが東欧に進行したのも、世界の覇権を握ろうとしたからで、これもハートランド理論に当てはまりますね。
世界を制したアメリカはハートランドに位置してない?
アメリカは地理的に言ってハートランドを支配することは不可能です。
そこでアメリカの学者マハンが『海上権力史論』で、ハートランドのまわりにある大陸周縁地域「リムランド」(極東、西欧など)を支配すれば、世界を制覇できるのだという方法論を構築しました。
米西戦争によるラテンアメリカへの影響力の拡大、ハワイの併合、フィリピンを植民地化したこと、太平洋戦争で日本を占領したこと、台湾に援助したことも、マハンの理論に基づいています。
こうしてみると、世界の動きが読めるような気がしてきませんか?
地政学を学び、世界の動きをより正しく把握できる視点を得ましょう!
地政学と関連性の高い、国際関係や歴史学を深めたいと思った方はこちらのオンライン講座もどうぞ。
コメント